シーカヤックのガイドをしていた頃、天気が“わずかにズレた”だけで、命に関わることがあると痛感しました。
晴れていたのに、風が数メートル強まっただけで海面の様子が一変します。「急いで戻りましょう」
せかして戻ったこともあります。
これは、キャンプでもまったく同じです。
テントやタープという“頼りない布1枚”で自然に挑む以上、判断を間違えれば命に関わります。
この記事では、風・雨・気温といった要素から「どの程度なら中止すべきか?」を、わかりやすく目安で紹介します。
ファミリーや初心者にも参考になるはずなので、天気が微妙なときの「判断の軸」として活用してみてください。
1 風速|タープが煽られたら危険信号!
風は最も事故につながりやすい要素のひとつ。
特にキャンプではタープやテントが“風を受ける構造物”であるため、設営そのものが危険になることもあります。
| 風速 | 状況 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 0〜5m/s | 木の葉が揺れる程度 | 問題なし |
| 6〜7m/s | 樹木全体が揺れる、声が聞こえにくい | 中止を検討。初心者は非推奨 |
| 8〜10m/s | タープが飛ぶ、設営不可能 | 中止推奨 |
| 10m/s以上 | 倒木・突風の危険あり | 完全中止 |
ワンポイント:
風速7m/s以上になると「ペグの刺さり具合」や「地面の安定性」も関係してきます。土が緩んでいると抜けやすくなり、テントが吹き飛ぶ危険も。
2 雨量|“本降り”を超えたら要注意
雨そのものよりも、設営・撤収時に身体を冷やす危険や、ぬかるみ・浸水によるトラブルが中止判断のカギになります。
| 降水量(1時間あたり) | 状況 | 判断基準 |
|---|---|---|
| ~1mm | 霧雨・小雨 | 様子を見ながら決行可能 |
| 2〜5mm | 傘が必要 | 泊まりなら慎重判断。地面の状態確認を |
| 6〜10mm | 本降り | テント設営・撤収が大変。中止検討 |
| 10mm以上 | 強い雨・視界不良 | 危険のため中止推奨 |
ワンポイント:
キャンプ場が川沿いや山間部にある場合、累積雨量もチェックしてください。前日からの雨で地盤が緩んでいると、たとえ当日が小雨でも崩落・増水のリスクがあります。
20mmを超えると傘を差しても濡れるレベル。
また川辺のキャンプ場だと急に水没、最悪流されるリスクも発生します。
3 最低気温|「0℃切る夜」は装備なければ中止を
「気温が低い」ことは、体感以上に危険を招きます。
夜間の低体温症や、睡眠不足による翌朝の判断力低下など、じわじわ効いてくるタイプのリスクです。
| 最低気温 | 状況 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 15〜25℃ | 快適 | 問題なし |
| 5〜14℃ | 肌寒い〜冷える | 装備が整っていればOK |
| 0〜4℃ | 冷え込み強 | 初心者・子ども連れは中止検討 |
| -1℃以下 | 凍結の可能性 | 防寒装備がないなら中止推奨 |
ワンポイント:
防寒装備が万全でも、雨や風があると体感温度が気温より10℃以上低くなることも。寝袋の対応温度やマットの断熱性能も重要です。
4 最高気温|猛暑キャンプは命に関わる
夏場のキャンプで見落とされがちなのが「気温の高さ」。
暑さはただ不快なだけでなく、熱中症や脱水症状の危険が常にある要素です。
| 最高気温 | 状況 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 25〜30℃ | 快適〜暑い | 日陰や水分補給で快適に過ごせる |
| 31〜33℃ | 炎天下ではしんどい | 日中の設営・撤収は避けるべき |
| 34〜35℃ | 危険域突入 | 熱中症リスク高。中止検討 |
| 36℃以上 | 猛暑日 | 初心者・子ども連れは中止推奨 |
ワンポイント:
アスファルトや芝の照り返しで実際の体感温度は+5℃近く。風がなく湿度が高いと、ますます危険度が増します。
5 判断を迷ったときのチェックリスト
最後に、すぐに使える中止判断用チェックリストをまとめます。
✅ 風速7m/s以上ある → 中止検討
✅ 降水量5mm/h以上 → 中止検討
✅ 最低気温5℃以下 → 防寒装備なしなら中止
✅ 最高気温33℃以上 → 熱中症リスクで中止検討
✅ 気象警報・注意報あり → 原則中止
✅ 前日からの雨で地面がぬかるんでいる → 中止推奨
5 「行けそうだから行く」ではなく「無理なく楽しめるか」で決めよう
キャンプは“自然を楽しむ遊び”であると同時に、自然の脅威にもっとも近いアウトドアでもあります。
気温・風・雨・地形……どれか一つが「許容範囲を超えた」なら、それはすでにキャンプを楽しめる条件ではないかもしれません。
命を守る判断は、必ず「少し余裕を見て」行うこと。
少しでも「行って大丈夫かな?」と感じたら、勇気を持って中止するのも、アウトドアの“ベテラン”の判断です。




